ブラジル対日本

ブラジルと日本は2対2で引き分け。この結果で日本はグループリーグを突破することができず、敗退した。しかし、この試合は近年ない好試合だった。

さかのぼると、欧州遠征でチェコに勝ち、イングランドに引き分けた頃が一番新しい強国との好試合であった。コンフェデ杯を総括してみると、メキシコに初戦で当たってしまったのは実はくじ運が良くなかった。彼らは南米の中堅と思われていたが、ふたを開けてみればブラジルを倒すほどにとても調子がよかったからだ。

ギリシャ戦は、3点差で勝つべき試合であった。実はこの試合での決定力のなさがブラジルとの引き分けで敗退を赦した原因である。やはりチャンスが10回を超えて存在するのだから、プロ選手、日本を代表するという意味で例え暑くても、疲れていても決めて欲しかった。

さて、ブラジル戦である。
この試合、前半4分にFWとMFのくさびの動きが3つ連続してワンタッチでボールがピッチを縦横に駆け回った。そして、最後に飛び出した加地によってゴールに吸い込まれた。加地は代表初得点かと思われたが。副審はオフサイドの判定だったが、実際には非常に微妙でオンサイドと判定されてもおかしくなかった。全体的に加地という選手の出来はサイドバックとしてずば抜けていた。攻撃では相手を抜き去り、囲まれたら落ち着いてキープしていた。実は加地が代表に合流してから、ジーコには信頼されていたが僕としてはまだまだだと思っていた。しかしこのコンフェデ杯では彼の実力をみせられたというか、彼の成長ぶりを端的に表していた。全体を通して守備にも攻撃にも大活躍のサイドバックであった。代表に定着してからずいぶんたつが、ジーコの一度決めたメンバーでとことん闘う姿勢が加地を育てたといっていい。


この試合、ロナウジーニョロビーニョの二人のカウンターで一点を奪われた。二点目もこの二人であった。ロナウジーニョはおおかたの予想通り、怪物的活躍をし、ロビーニョは躍動していた。ブラジルにおいては、期待のアドリアーノは効果的なシュートはほとんどなかった。また、彼に代わってはいったバプティスタにいたっては「何も」できなかった。中盤ではGシウバががんばっていた。


日本は中村の信じられないようなゴールで同点においついた。これはキャプテン翼か、というドライブシュート。二点目も彼のFKがバーに当たって、その跳ね返りを大黒が押し込んだ。ストライカーとしては当然なのかもしれないが、大黒の狙いも良かった。中盤はいつもよりロングボールが少なかったために毎回、中村、中田、小笠原らを経由していた。そして、一番大事なのが縦パス。この日の日本は縦パスを何度も通していた。積極的に縦にパスすること、そしてそのボールがサイドに展開されていくのは美しいつなぎであった。ちなみにほとんどの縦パスは中田英寿から出されていた。


サッカーにおいて、縦パスがいかに相手を崩すのに有効かが見えた。コンパクトにつなぐサッカーというのを目指せば、ブラジルとも打ち合える。ワールドカップまであと一年だが、どのシステムになってもダイレクトパスを多用したショートパスによるサッカーを魅せて欲しい。