美しい国

ずいぶん前のことだけど、NHKの特集で「美しい国」について授業をやった学校に取材がはいった。番組の中では授業の例は2件あったのだけど、どちらもいまいち。

片方の学校の先生は、自然の写真、風景の写真、四季があるということを教えた上で、美しい国を扱った。

もう片方の学校の先生は、日本に「はしのマナー」が複数あることを教えた上で、美しい国を扱った。


教育とはある種の洗脳なのだけれど、さすがにこの内容では子供達もちんぷんかんぷんだったように見えた。当たり前のようだけど、直感的な美しさというのはどこの国へ行ってもあるもの。マナーがあるから美しいというのを考えるのはあんまりにも遠すぎる。


この「美しさ」について教えなくてはならないというのは厄介なことだろう。


そもそも国に対する美しさの印象というのは、個々人の内面に築かれるものであって、いかにその国でいい経験(特に若いうちに)をしたかが、愛国心となって現れるのだと思う。つまり誰かに「これは美しいですよ」という客観的なもの、授業的なもの、相手からの価値観のおしつけでは通用しない問題になっている。


今では韓流ブームで韓国も人気だが、僕が始めて海外にいった2002年の韓国はまだそういったブームはなかった。僕はワールドカップを見るために訪れたのだが、そこの人たちのホスピタリティは日本のそれよりも格段に上だった。僕はそこで知り合った方の自宅に招かれて、夕食をご馳走になった。

初めての海外であったが、韓国という国のイメージは非常に良いものになった。


僕が思うのは、「美しい国」を作るのに大切なのはそこに暮らす人が温かいかどうかが重要であって、もし教えるとしたらそれは他者への思いやりだろう。